Salesforce AIエージェント開発事例の紹介
株式会社FOOD & LIFE COMPANIES様
「DATA Saberたちが挑む、AIエージェント開発」——売上1兆円ビジョンの第一歩
「変えよう、毎日の美味しさを。広めよう、世界に喜びを。」をビジョンに掲げる株式会社FOOD & LIFE COMPANIES。将来的に売上1兆円という、現状の倍以上の成長を見据える同社では、2025年10月に新設された経営企画部 デジタル戦略課が、デジタル業務基盤の整備とデジタル人材育成を両輪に「売上1兆円を目指すため」の基盤づくりを進めています。その一環として動き出したのが、生鮮食品の品質ガバナンスを担うAIエージェントの開発。Salesforce Agentforce で内製を試みるも「画像の壁」に直面し、3週間プロジェクトは止まりました。そこから声がかかったのが、株式会社リバネスナレッジ。プロジェクト開始からわずか1週間で動くモックを提示し、毎週バージョンを刻みながら、商品異常検知エージェントは店舗トライアルのフェーズに到達しています。プロジェクトを牽引する高井さん、狹間さんに、内製の挑戦から伴走支援に至るまでを伺いました。
売上1兆円のビジョン達成のため、始まったデジタル戦略
- まず、経営企画部 デジタル戦略課はどのような部署なのでしょうか。
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- 株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
経営企画部 デジタル戦略課 課長 / DATA Saber
高井 将吾 氏
(以下、高井) 2025年10月に新設されたばかりの、今期からスタートした部署です。当社が掲げる「売上1兆円」という目標に向けて、AI活用も含めたデジタルの業務基盤をつくることを目指していて、いまは「データ基盤構築」「デジタル人材育成」「業務BPR(業務プロセスの抜本的見直し)」という三本柱の施策を進めているところです。
将来的に倍以上の成長を見据えると、もう「本社がもう一個必要になる」というほどの規模感で、今のやり方の延長線上ではちょっと太刀打ちできない。これまで経営企画部の中で動かしてきたデータマネジメントのプロジェクトを発展させる形で、新しく「課」として独立した、という経緯です。
- 株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
高井 将吾 氏
- 名刺の肩書きに「DATA Saber」と入っていますね。
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- 高井
DATA Saberというのは、Tableauコミュニティの有志から生まれた独立の認定制度で、「データを通して世界を理解し、それを人に正しく伝え、人の心を動かし、行動を促す」人を目指す、というミッションが掲げられている取り組みです。社内でもまさにその精神に基づいた取り組みを行っています。
社内では「Jedi Academy」と呼んでいる、Tableauを中心にしたデータ人材育成プログラムを作りました。各部署に最低ひとりは「Jedi」を置いていこう、と。コンテンツはすべて内製で、いまは50人ぐらいの参加者になっています。ジェダイの定義は「Tableauが使える人」ではなくて、「データを使ってビジネスの課題を解決する人」。ここはかなり強く伝えてきました。
- 株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
経営企画部 デジタル戦略課 主任 / DATA Saber
狹間 隆人 氏
(以下、狹間) 私は中途入社で、前職の銀行でTableauを触っていた経緯があって、入社してすぐ「Jedi Academy」の運営側に入りました。いまは私がリーダーとして、各部署のJediたちを育てる側を担当しています。
- 社内文化として、新しいことへの抵抗感は少ないのでしょうか。
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- 高井
よく「DXを推進すると抵抗勢力が出てくる」と聞くんですけど、うちは逆で、みんな「もっとやってやって」という空気なんです。組織的な自己効力感がすごく高い。スシローって、今も回転寿司業界のトップを走っていますし、時価総額も伸びている。それでも誰一人「このままでいい」とは思っていないんですよ。
その源泉は、スシローの使命である「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」がちゃんと浸透していることだと思います。社員はみんなスシローがとても好きで、「もっとお客さまにうまいすしを届けたい」と当たり前のように思っている。だから「そのためにこのスキルが要るよね」と言うと、ちゃんと文化として根付いていく。
オフィスのいたるところに、すしネタやブランドの意匠が散りばめられている
裏側は、Excelとメールだった
- 店舗側はオートウェイターなどデジタル化が進んでいる印象ですが、本部の業務はいかがでしたか。
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- 高井
お客さまから見えるハード面、たとえばキッチン内のレーン制御などはかなりデジタル化が進んでいます。一方で、サプライチェーンまわりの裏側は、けっこうExcelと人力で回ってきた領域でした。本社業務の改善余地はかなり大きい。
加えて、海外展開でオペレーションが一気に複雑になってきています。これまでは同じ店舗で同じすしを出していけばオーガニックに伸びていったのが、いまは国・地域ごとにお客さまの好みも違うし、価格も100円から110円へと細かく動く。「今のExcelのやり方では、5年・10年は持たないぞ」という危機感が現場にもあります。
- その中で、最初に手をつけたのが商品の品質管理だったと。
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- 高井
はい。店舗で「このマグロ、ちょっと色が悪いな」と気づいた時、本部に上げて、ロットを特定して、同じロットを他店舗で差し止めたり、サプライヤーさんに赤伝(返品)を切ったりする——食の安全・安心のためのフローです。
ところが、入り口のデータがあまりに揺れていまして。「マグロ」と一言で言っても本マグロ・南マグロと種類はあるし、季節品もある、サプライヤーも違う。店舗からGoogleフォームでマグロの状態について連絡が来て、本部から「どのマグロですか」「いつの納品ですか」とメールでラリーが発生する。一つの商品を特定するだけで、1日かかってしまうこともありました。
商品部、品質管理、営業、カスタマーサポートの四部署合同で「これは何とかしないと、改善サイクルが回らない」と。最初はそもそもデータを綺麗にするところから入ったのですが、入り口が詰まりすぎていて、ここを変えないとリードタイムが縮まらないとなったんです。
Agentforce に自力で挑んで、画像の壁にぶつかった3週間
- 最初は Salesforce Agentforce で内製開発を進められたそうですね。
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- 高井
2025年12月から、私と狹間の2人でAgentforceのライセンスを2つ買って、Salesforceさんのオンボーディングを受けながら自力で組み始めました。「マグロ」と入れたら、その店舗に納品されたマグロのリストからAIがリコメンドする——という商品特定の第一フェーズですね。
Tableauのときから Salesforce のプロダクトには親和性を感じていましたし、AIエージェントのエンジン自体もかなり優れている印象があったので、自然な選択でした。
株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
狹間 隆人 氏
- 一度はうまくいきかけたものの、途中で詰まったとか。
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- 狹間
1ヶ月半ほどで形にはなったのですが、店舗から送られてくる製造ラベル写真をエージェントで送受信する仕組みが、どうしてもAgentforce単体では実現できなかったんです。
そこから1ヶ月、Salesforceさんと一緒に調査いただいたのですが、最終的に「これはAgentforceだけだと難しい」となって。
- 高井
画像はクリティカルな機能だったので、「ここで進めないか」と途方に暮れて。他の機能も含めて一から学び直すか、外部のパートナーに入っていただくか、という分岐に立ちました。商品部や他部署にもロードマップを共有してしまっていたので、急いで決める必要があったんです。
- そのタイミングでリバネスナレッジに声をかけられたと。何が決め手でしたか。
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- 狹間
Salesforceさんからご紹介いただいた何社かのうちのひとつでした。SalesforceにもTableauにも支援実績が厚いというお話を伺っていて、我々が目指す方向性で扱っているツールが、すごく似ていたんです。
- 高井
リバネスナレッジさんのお名前は、Tableauコミュニティの場でも、Slackの文脈でもよく聞いていました。「あ、あの会社か」と。
決め手はもう一つあって、AIエージェントというのは新しい技術ですよね。だからこそ「研究サイクルがしっかりしていること」がパートナーの条件だと感じていました。リバネスナレッジは親会社が学生発の研究系企業だと聞いていて、新しい技術を取り入れ続けていただけそうだ、と。これからどんどん新しくなっていく領域で、長く伴走してもらえる相手だと感じました。
1週間で動くモック、毎週バージョンが上がっていく
- 支援が始まってからの体感は、いかがでしたか。
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- 高井
まず、最初のモックが1週間で動く形で出てきたんです。これにはびっくりしました。我々が自力でやっていたときは、一つひとつの修正に1日かかっていたものが、プロに頼むとこんなに早いんだ、と。
そこから毎週バージョンが格段に上がっていって、しかも我々はそれを使って商品部や品質管理部、営業など他部署にヒアリングしながら要件を詰める時間に充てられた。AIエージェントはまだPOCの段階だったので、ここに全リソースを張り付けるわけにはいかなかったんですよ。だから、リバネスナレッジさんが手を動かしてくれて、我々が業務側に向き合えたのは本当に大きかった。
- 開発のスピードはなぜそこまで出せたのでしょうか。
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- 株式会社リバネスナレッジ
Salesforce Consultant
髙橋 輝道 氏
(以下、髙橋) 弊社の中で開発のスタイル自体をAI駆動に切り替えていまして、いろんなフローや仕組みの実装はAIが回し、人間はレビューする側に立っている、という状態にしています。Agentforce で組まれていたものも読み込ませることができるので、要件理解から動くプロトタイプまでを一気に短縮できました。
- 株式会社リバネスナレッジ
- やり取りのチャネルにSlackを使われていたとか。
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- 高井
そうなんです。当社、リバネスナレッジさん、Salesforceさんの三社で同じSlackチャンネルに入っていて、「これってSalesforce側ですかね」「ライセンス面はこちらで」とポンと投げると、ちゃんと拾ってもらえる。議事録もそこに全部置いていただいて、「Slackっていいな」と仕事しながら実感しました。
普段はGoogle中心なんですが、これは社内にも入れていきたい、と次のテーマとして見えてきています。
インタビューの会議室の名前は「たらマヨ」。壁の色もたらマヨをイメージしてあしらわれている。
狹間 隆人 氏(左)高井 将吾 氏(右)
- 店舗側の使い勝手についても、ご要望をかなり細かく出されたそうですね。
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- 高井
こちらが自力で実現できなかったユーザビリティの部分は、本当に細かくお伝えしました。「ここは違う、ここはこうしたい」と何度もお願いしたのですが、いつも真摯に対応していただいて。報告の写真も、店舗の方が普段その業務を専門にしているわけではないので、「容器と一緒にボールペンを置いて撮ってください」というガイドをAIエージェント側から出すなど、現場目線の設計まで踏み込んでいただきました。
結果的に、店舗にとって本当に使いやすいものが上がってきていて、今日の午後、まさにそのトライアル結果を店舗側と擦り合わせる打ち合わせなんです。
「これは第一歩」——エージェントが全業務に入る未来へ
- このAIエージェントは、どのような未来像の入り口に位置づけられているのでしょうか。
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- 高井
まさに今全社におけるAX戦略を作っているところで、「ありとあらゆる業務にエージェントを組み込む」という方向性を描いています。今回の商品異常検知エージェントは、そのまさに第一歩。POCとして組んだものを、本格運用に育て、次のフェーズでは画像解析や、AIから店舗への具体的なアクション提示まで踏み込んでいきたい。
データプラットフォームのときから、「最終的にはAIで活用する」という文脈は持っていました。今回も納品データ、店舗マスタ、組織マスタはすでに整っていたので、リバネスナレッジさんには連携の方法だけ教えていただいて、データ側はこちらでクイックに用意できました。役割分担がはっきりしていて、ここまでは弊社、ここからお願いしますという線引きをきれいに引いていただけたのが、ありがたかったです。
- 一方で、リバネスナレッジから受け取った知見を内製化していくお考えもあると伺いました。
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- 狹間
完成したエージェントについては、今後トレーニングを受けて、私たちでも改修できるようにしていきたいと考えています。ベンダーさんに依存しすぎず、社内で育てていける形を目指したい。一方で、より高度な部分や、新しい技術の取り込みは引き続きお願いしたいと思っています。
株式会社リバネスナレッジ Salesforce Consultant
髙橋 輝道- 髙橋
私たちが「伴走支援」と呼んでいるのは、依存しきってもらうのでも、言われるまで動かないのでもなく、その間を寄り添って走るスタイルです。自転車を支えて、最後は手を離す——そのイメージで、ご支援が終わったあとはお客さまご自身が行きたい方向に走り続けられる状態を目指しています。FOOD & LIFE COMPANIESさんは、まさにそれを実践されている。使命・ビジョンが組織の根まで通っていて、新しいことへの自己効力感も非常に高い。私たちの役割は、そこに必要なテクノロジーを早く渡して、内製化までしっかり手を添えることだと思っています。
- 高井
私たちの一番の強みは、やっぱりスシローの使命である「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」がみんなに浸透していることです。「”うまいすし”をお客さまに届けたい」と思っている人が、ものすごくたくさんいる。その想いを最大限活かすための基盤・スキル・ツールとして、デジタルとAIを使い倒したい——そう考えています。
株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
狹間 隆人 氏(左)高井 将吾 氏(右)
お話を伺った方
高井 将吾(たかい しょうご)
株式会社FOOD & LIFE COMPANIES 経営企画部 デジタル戦略課 課長 / DATA Saber
狹間 隆人(はざま たかと)
株式会社FOOD & LIFE COMPANIES 経営企画部 デジタル戦略課 主任 / DATA Saber
Salesforce / Agentforce 開発支援のご相談お待ちしております
リバネスナレッジでは、Salesforce 製品群および Agentforce を活用したAIエージェント開発支援を行っております。お客さまの内製開発に寄り添いながら、要件定義から実装、運用設計、内製化トレーニングまでをワンストップでご提供します。AI駆動開発によるスピード感と、新技術への対応力で、お客さまのAX戦略の第一歩を伴走いたします。お気軽にご相談ください。