「人を増やさない成長」を支えるSalesforce伴走支援事例の紹介
株式会社マジックハット様
「ビジネス規模は10倍、人数は2倍」——20数名で約300万ライセンスを支える組織の裏側
Apple製品のエンタープライズ・教育分野向けソリューションをいち早く日本に持ち込み、企業のセキュリティとITガバナンスの土台となるデバイス管理ツール「Jamf」の国内第一号代理店として市場を切り拓いてきた株式会社マジックハット。現在はJamfにとどまらず、ID管理やゼロトラストセキュリティ、SaaS連携、業務のDX支援まで、Apple製品の活用を軸に組織のテクノロジー導入を支えるテクノロジーサービスプロバイダへと事業を広げています。2011年に2名で創業した同社は、現在も20数名という少数精鋭のまま、約1,500組織・約300万台のデバイスを支える存在に成長しています。この5年でビジネス規模は10倍以上、それでも人数は約2倍——その裏側には、「人を増やす前に、仕組みを磨く」という一貫した思想と、それを形にするSalesforce基盤がありました。情報システムの専任部門を持たない同社で、基盤の構築・運用から周辺ツールの選定、AI活用の検証までを「外部のピース」として担ってきたのがリバネスナレッジです。担当の佐藤が前職で支援を始めた2021年5月から数えて、伴走は通算で丸5年になります。代表取締役の湯浅さん、セールスマネジャの室田さんに、創業からの歩みと少人数経営を支える仕組みづくり、そしてパートナーの「頼り方」を伺いました。
麻布の古いビルから始まった、15年
- まず、マジックハットはどのように始まった会社なのでしょうか。
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- 株式会社マジックハット
代表取締役
湯浅 尚雄 氏
(以下、湯浅) 創業は2011年、今年で15年になります。最初のオフィスは南麻布で、昔カールツァイスの日本法人の社長が住んでいた古いマンションをリノベーションした物件でした。おしゃれではあるんですが、冬はめちゃくちゃ寒い、本当にスタートアップ的な環境で(笑)。現在も技術を担当している中尾と、2人でのスタートです。
- 株式会社マジックハット
株式会社マジックハット 代表取締役
湯浅 尚雄 氏
- 当時から、Apple製品の企業向けソリューションを扱われていたのですか。
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- 湯浅
はい。私はAppleに長くいたのですが、当時の日本ではAppleはまだコンシューマー中心で、企業向けソリューションはほとんど売れていなかった。ただそれは日本だけの話で、グローバルではエンタープライズや教育の分野でかなりのシェアと知名度がありました。理由ははっきりしていて、製品はあるのに、その上で動くソリューションが日本になかったんです。だったらそれを日本に持ってこよう、と。エンドのお客さまにも、教育機関にも、Macを扱う販路にも、360度から攻めに行く。完全にゼロからのスタートでした。
- 最初に手応えがあったのは、どの領域でしたか。
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- 湯浅
意外に教育でした。今はGIGAスクールで子どもたちが一人1台使っていますが、当時の日本はITデバイスが12人に1台という時代。一方アメリカではすでに一人1台が当たり前でした。「教育にはこれが必ず必要になる」という話は、比較的聞いてもらえたんです。
逆に時間がかかったのはエンタープライズです。2名で始めた会社がエンタープライズ向けソリューションを持って行っても、「御社はいつまであるかわからないよね」から入りますから。実績がないと入れない、入れないと実績が作れない——この鶏と卵の最初の部分は、非常に苦労しました。それでも、お客さまが100社を超えたあたりから、我々の力ではなく自動的にお客さまが増えていくモードに入った。マーケティングの教科書どおりのことが、実際に起きた感覚です。
- AI時代、デバイス管理は企業のセキュリティとガバナンスを支えるインフラとして、重要性を増しています。事業の性質も変わってきましたか。
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- 湯浅
失敗できない部分は、確実に増えています。創業の頃は、とにかく売るぞと、失敗しながら進めばよかった。今は約1,500組織のガバナンスの基盤をお預かりしていて、その一方で、ITのトレンドは異常なスピードで変わり続けている。既存の財産をきちんと維持することと、その変化にキャッチアップするスピード——この両軸を持つことが、最初の頃にはなかった、今の我々の課題です。
尖った強みを、ピースのように噛み合わせる組織
- 現在も20数名という少数精鋭です。組織づくりの勘所をどうお考えですか。
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- 湯浅
ビジネスとしては極めてITドリブンなんですが、組織に関しては、私はあえて逆を見ているところがあります。我々自身がGAFA系の出身で、ああいう会社はトップの人材だけを育成して、残った人間がレベルを上げていく、皆さんがイメージする外資系の組織です。でも、うちのサイズの会社はそれでは回らないし、我々は自分たちで製品を作っているわけではないので、人が財産に近い。
だから採用では、平均点はあまり求めません。それぞれの個人が持つ尖った力を見て、できないことはお互いに埋め合う。ピースを噛み合わせるような組織を目指しています。そうすると相互の尊敬や感謝も生まれやすいし、チームとしての強さも出てくる。外資にいた頃とは真逆の考え方です。
- 株式会社マジックハット
セールスマネジャ
室田 美記 氏
(以下、室田) 少人数だからこそ、一人ひとりの得意なところが活きるように——私はマネージャーとして、メンバーが自分の能力をなるべく発揮できるチームづくりを心がけています。
- 働く環境も、かなり柔軟だと伺いました。
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- 湯浅
最初からフルリモートで、お子さんがいるメンバーも働きやすい環境です。海外出身のメンバーも多くて、「しばらくハンガリーに帰ります」「タイから仕事します」も普通にある。それぞれの国の人が、それぞれ働きやすいように、という形です。
株式会社マジックハット セールスマネジャ
室田 美記 氏
ビジネス規模10倍・人数2倍を支えたSalesforce基盤
- マジックハットさんへの伴走は、いつからでしょうか。
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- 株式会社リバネスナレッジ
Customer Success Lead
佐藤 夕佳 私が前職で担当させていただいた2021年5月からなので、通算でもう丸5年になります。昨年、私がリバネスナレッジに移る際には、マジックハットさんも「私たちも移籍します」と、支援ごと一緒に移ってきてくださったんです。
- 湯浅
当時と比べると、ビジネス規模は10倍以上になっていると思います。人数は10名弱から20数名なので、約2倍ですね。
- 室田
私が2020年にジョインした頃は、Salesforceは使っていたものの、整備がきちんとできていない状態でした。前職で営業まわりのシステムに携わっていた経験もあったので、「もう少し仕組みを整備していいですか」と社長に訴えて、当時使っていたアプリを見直すところから始めたんです。その伴走役としてご提案いただいたのが、佐藤さんでした。
- 株式会社リバネスナレッジ
- マジックハットさんの商流は、かなり複雑だと伺いました。
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- 佐藤(リバネスナレッジ)
直販もあれば、代理店さんや販売店さん、ディストリビューターさんが入る多段階の商流もある。日本だけを相手に直販するビジネスモデルとは、まったく違うんです。
- 室田
チャネルごとにいろいろな決まりごとがあるので、それをできる限り定義した上でシステムに落とし込んでいただいています。ポイントは、なるべく「人が覚えなくてもいい」ようにすること。うちのサイズだからこそ、お客さまのニーズに合わせたイレギュラー対応も大事にしているのですが、佐藤さんはそこも含めて、なるべく開発なしで、設定だけで対応できるように運用面から提案してくださる。それは今もずっと続いています。
- 「人を増やさずに仕組みで解決する」という発想は、社内で徹底されているのでしょうか。
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- 湯浅
できるだけ効率的なシステムを目指す、ということだけは決めています。その上で人が増える分には構わない。ただ、我々自身が「どうすれば最先端に効率的にできるか」を提案する会社なので、まず自分たちがそうなっている必要があるんです。
- 室田
人数を増やせば効率が上がるかというと、そういうわけではないですから。単純作業はシステムで短縮して、人にしかできないことに時間を使い、別のスキルを伸ばす。その方がきっとみんなハッピーだよね、という考え方です。
- 佐藤(リバネスナレッジ)
マジックハットの皆さんは能力が非常に高いので、実は人手でやってもほとんどミスは起きないと思うんです。それでも「細かいことに気をつける労力」そのものを削減しにいく。そこが徹底されています。
インタビューの様子
湯浅 尚雄 氏(左)室田 美記 氏(右)
請求書1000件のうち、人が確認するのは3、4件——OCRで変わった業務
- これまでの効率化で、特にインパクトが大きかったものは何でしょうか。
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- 室田
まずは最初の、販売管理もできるSalesforceの構築です。それまではデータベース化もきちんとできていなかったので、どこに何がどれだけ売れているかという集計がすぐ出るようになった。これで一段階上がりました。
- 直近では、請求書処理の自動化もインパクトが大きかったと伺いました。
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- 株式会社マジックハット
セールスマネジャ
後藤 愛子 氏
(以下、後藤) 仕入れ請求書の処理です。メールに添付されたPDFの請求書を一通ずつ目で確認して、手作業でデータ入力していたのですが、繁忙期には大量の請求書が一気に来る。かなりの時間がかかっていたので、「どうにか自動化できないか」とご相談して、OCRの仕組みを入れていただきました。
- 株式会社マジックハット
セールスプランニング
多久和 三織 氏
(以下、多久和) 今は1000件あったら人が確認するのは3、4件だけで、あとは自動で流れます。空いた時間を、別の仕事に注力できるようになりました。
- 株式会社マジックハット
株式会社マジックハット
後藤 愛子 氏(左)多久和 三織 氏(右)
- OCR導入では、リバネスナレッジはどこから関わったのでしょうか。
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- 室田
製品の選定からです。これまで経験したベンダーさんだと、OCRツールはこちらで探して調査して、「Salesforce上で動くかを確認して実装するだけ」というケースが多かったんです。でも御社は選定から入って、メーカーさんとの調整も、うちの仕組みをよく理解した上でポイントを押さえて進めてくださった。
我々にはシステム専任の担当がいるわけではないので、製品を選べたとしても「メーカーに何を確認すべきか」が抜け落ちてしまう。そこをカバーして、メリット・デメリットまで整理して提案していただけるので、比較検討も、もう「うちの会社の人なのでは」という勢いでやっていただいて(笑)。とても助かっています。
株式会社マジックハット
多久和 三織 氏(左)室田 美記 氏(右)
「もう外せない」——オペレーションに組み込まれたAI
- この1、2年のAIのトレンドは、社内のオペレーションにも影響していますか。
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- 湯浅
比較的早い段階からツールは入れていて、エンジニアはClaude Codeも含めて使っていますし、生成AIのツールは初期から全員に配っています。私はもともとAIの領域に興味があって、過去に「期待されながらAI化しなかった時代」も見てきたので、今回が本物かどうかは2、3年前からずっと見ていました。正直「まさかここまでになるとは」という感覚です。去年の前半は社内のスタートラインもみんな同じでしたが、今となっては、もう外せない状態でそれぞれが使っています。
- SalesforceとAIの連携も進めていらっしゃるそうですね。
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- 湯浅
SalesforceがAIと連携し始めたので、これまでBIツールで作り込んでいたようなものも、自然言語で聞けば出てくるようになってきました。アナリティクスのところも、好きなようにアウトプットを出せるようになってきています。
- 室田
AIとSalesforceの連携はやりたい。ただ一方で、セキュリティのことも考えなければいけない。うちには情報システムの専任部門がないので、Salesforceを管理する私のチームで、運用や実装のルールを決める必要があります。今はセールスのチームで検証中の段階ですが、そこも含めてきちんと調査して伴走してくれるパートナーさんがいるのは、とても心強いです。
- 開発の現場も変わりましたか。
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- 佐藤(リバネスナレッジ)
大幅に変わりました。いまはUSドル建ての売上への対応を進めているのですが、十数個のオブジェクトが絡むレート換算の仕組みで、昔なら数ヶ月単位のプロジェクトになってもおかしくない領域です。AI駆動の開発に切り替えたことで、設定画面をほぼ開かずに進められていて、AIがあることで来月にはリリースして運用を開始できる見込みです。
これは私個人の技というより、会社としての体制なんです。リバネスナレッジでは開発のスタイル自体をAI駆動に切り替えていて、実装はAIが回し、人間はレビューと設計の判断に集中する。今回のUSドル対応も、開発メンバーの久保田が加わって、チームで進めています。
それと、マジックハットさんは意思決定がとにかく速いんです。仕様の確認をすると、すぐお返事をいただける。「経理に確認します」「法務に確認します」と設計が止まってしまう会社さんも多い中で、このスピード感が開発の速さに直結しています。
- 湯浅
そこは意識していて、うちのサイズの会社は「決めないことを決める」のが大事だと思っているんです。ルールをきちっとすればするほど、スピードは遅くなる。為替の扱いを室田がその場で決められるのは、あえてしっかりさせすぎていないからです。他社から「しっかりしていないね」と言われても、うちはあえてしっかりしないぞ、というところも必要だと思っています(笑)。
株式会社マジックハット
後藤 愛子 氏(左)湯浅 尚雄 氏(右)
未来は予測しない——変わり続けられる組織であること
- ここからのマジックハットの未来を、どう描いていますか。
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- 湯浅
正直、予測はとても難しいと思っています。Appleにいた頃、年に一度だけ上位100人が集まる会議があって、そこで幹部が「2年後、3年後はどうなるんだ」とスティーブ・ジョブズに聞いたことがあるんです。答えは「知らん」と。ジョブズですら1年先のことしか考えていないと言っていた。あのレベルの会社でもそうなのだから、この過渡期に5年後を予測しても、正直あまり意味がない。3年前に、今のAIの状況を予想できた人はいないわけですから。
だとすれば大事なのは、変わっていく世の中に常に変化できる組織であることです。今、約1,500組織のお客さまと約300万のライセンスという基盤がある。その上で、売り方も、商品も、顧客ニーズの変化にも柔軟に対応し続けていく。それが結果として、うちの未来像になるんだと思います。
オフィスの窓から望む東京の街並み
株式会社マジックハット
室田 美記 氏(左)湯浅 尚雄 氏(右)
外部のピースとして、噛み合い続ける
尖った強みを持つ人を採用し、足りないところはピースのように噛み合わせる。ルールで固めず、現場がその場で決められる範囲を広く残す——マジックハットの組織論をなぞっていくと、リバネスナレッジの位置づけも見えてきます。同社は情報システムの専任部門を持ちません。その機能は、Salesforceを管理する室田さんのチームと、その外側にいるリバネスナレッジが担っています。製品の選定も、メーカーとの調整も、セキュリティの調査も——「社内に情シスがあればやるはずのこと」を、組織の外に置いたピースとして噛み合わせる。20数名のまま10倍の成長を支えた仕組みは、この分業の上に成り立っています。
そして、そのピースの中身は担当者個人の優秀さだけではありません。リバネスナレッジは開発スタイル自体をAI駆動に切り替え、実装はAIが回し、人間はレビューと設計判断に立つ体制を敷いています。少人数のまま、任される領域を広げていく——「人を増やす前に、仕組みを磨く」という思想は、実はマジックハットとリバネスナレッジに共通するものです。似た思想を持つ組織同士だからこそ、ピースは噛み合い続けています。
- 通算5年の伴走を、リバネスナレッジ側はどう捉えていますか。
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- 佐藤(リバネスナレッジ)
転職すると伝えたとき、室田さんが「私たちも移籍します」と言ってくださったのは、本当に嬉しかったです。会社の看板ではなく、それまでの仕事の中身を信頼していただけたのだと受け止めています。
私たちが目指しているのは、言われたものを作って納品する外注先ではなく、お客さまの業務を社内の人と同じ解像度で理解して、先回りして提案できるパートナーです。マジックハットさんは意思決定が速く、任せるところをはっきり任せてくださる。だからこそ、私たちはその分まで速く走れます。この噛み合い方を、これからも続けていきたいです。
株式会社リバネスナレッジ Customer Success Lead
佐藤 夕佳
お話を伺った方
湯浅 尚雄(ゆあさ たかお)
株式会社マジックハット 代表取締役
室田 美記(むろた みき)
株式会社マジックハット セールスマネジャ
後藤 愛子(ごとう あいこ)
株式会社マジックハット セールスマネジャ
多久和 三織(たくわ さおり)
株式会社マジックハット セールスプランニング
Salesforce伴走支援のご相談お待ちしております
リバネスナレッジでは、Salesforceの導入・整備から、OCRなど周辺ツールの選定・連携、AIを活用した業務効率化までを一貫して支援しています。情報システムの専任部門を持たない企業の「外部の情シス」として、製品選定やメーカー調整、セキュリティの調査まで踏み込み、開発に頼りすぎない持続可能な仕組みを設計する。AI駆動開発によるスピード感で、少人数のまま事業を伸ばしたい企業の成長に長く伴走します。お気軽にご相談ください。