Project Description

Project Brief

リバネスでは会員向けサービスの提供を始めていましたが、当初は会員数も少なく、メールベースでのやり取りがほとんどでした。それがだんだんと人数が増え、手作業でのやり取りが限界に来たこともあって、オンライン上へのやり取りへと切り替えることにしました。

オンラインへの切り替えには2段階あり、まず最初のステップではサービスとして上手くいくかの確証がなかったため、スピード重視でシステムを立ち上げています。その後、オンラインサイトが軌道に乗ってきた段階で更に会員数を伸ばすために利用するサービスを変更しています。

The Challenge

第一段階では、オンラインサイトによるサービス提供が上手くいくかどうかを確かめる必要がありました。これまでの作業がオンラインによってどの程度軽減することが出来、顧客満足度に寄与するのかを図る必要がありました。会員向けのオンラインサービスの本格的な提供は初めてだったこともあり、Salesforceのコミュニティクラウド(現在のExperience Cloud)を利用して短期間で立ち上げサービス提供を始めました。
その後、当事業は軌道にのり、会員数が増えたためにライセンスフィーが大きくなってきました。そのため、コミュニティクラウドでの経験を経て、Heroku上に作成したWebサイト(リバネスID)へと乗り換えています。

The Solution

利用したサービスは、Salesforce社のExperience CloudとHerokuです。

前者は会員向け情報がSalesforce(Sales Cloud)に同期することが特徴です。会員サービスのフロントエンドは管理画面からクリックしていくことで作成が出来るため構築がかんたんです。会員はサイトから様々な情報を入力することになりますが、これらの情報はシームレスにSalesCloudに同期するため、スタッフはいつもの見慣れた画面で情報を確認することができます。学習コスト0で新しいサービスを構築することが出来ました。

その後、会員数が増えるとともに、ライセンス数も増加傾向になりました。今後の成長によるコストの増大を考えると、いわゆるWebサービスを構築したほうがベターだと考えました。ここではSalesforce社のHerokuというサービスを利用しています。HerokuにはHeroku ConnectというSales Cloudへの情報同期の仕組みが備わっています。これを利用することでExperience Cloudと同様に情報をSales Cloudに同期することができ、スタッフのワークフローを変えずに成長することが出来ました。

当初の要件は、以下のとおりです。

・会員サイトの経験が少ない
・そもそも当該サービスにWebサイトがあっているか不明
・Webサービス化することで、様々な業務コストが激減する予感はする

このような状態では何も確信がなく、巨大なコストを払うのは難しいという状態でした。そのため、Salesforceがリリースしている会員向けサービスであるExperience Cloudを採用することにしたのです。コストは、登録される会員数*ライセンスフィー(当時は500円/月でした)のみで始められます。極めて小さな投資で手軽に会員向けサービスをスタートできるということもあってスムーズにスタート出来ました。

立ち上げたサイトには、これまでのお客様リストを読み込んで招待状を出します。程なくしてこれまでメールでのやり取りを基本としていたサービスがオンラインサービスへと移行されました。情報はお客様自らが、Experience Cloud上で作成した入力フォームに登録してくれます。私達は入力された情報を元に、リストを作成し、業務に活用することができるようになりました。

情報はSales Cloud側でVisualforce pageを利用することで帳票として出力することが出来ます。スタッフはいつでも最新の情報にURLのクリックひとつでアクセスできる様になりました。これまでのように、お客様からメールで頂いた情報を、エクセルに転記してまとめ、差し込み印刷で出力するといった膨大な手間が0になったのです。コピー&ペーストのミスもなくなり非常に有意義な導入事例となりました。

導入は成功し、会員数が伸びていった

当初一つのみだった導入サービスは、その後社内に知れ渡りあらゆるサービスに導入され始めました。最大で10程度のサービスがExperience Cloud上で展開され、ライセンス数も増加していきました。こうなると、段々と年間のライセンスコストが気になってきます。今後、様々なサービスに同じ展開で導入することを考えると、当初300程度で運用されていたライセンス数は6千人を超えるという試算になります。ということは年間コストが3600万円程度かかる計算になります。

このような試算をした段階で次へのステップを考え始めたのです。

Heroku上に会員サイトを構築し移行

Salesforce社はその他にもHerokuというサービスを持っています。Herokuは自社でサーバーを構築せずとも様々なサービスを構築することができるPaaS(Platform as a Service)と呼ばれす種類のサービスです。Herokuには更に、Heroku ConnectというSales Cloudと同期するための機能が搭載されています。

これまでExperience Cloudで行っていたような体験をそのまま移行するためにはHerokuに移行するのが一番でした。

Webサービス自体は今回はPHPを使ったいわゆる一般的なサービスとして作成しています。これをHeroku上にデプロイすることで運用を始めました。この段階では、社内に一人もいなかったエンジニアを雇い、チームを作ることでWebサービスの実現をしています。

持続的な成長

SalesforceにはPardot(現在のAccount Engagement)というメールマーケティングのサービスを搭載しています。Sales Cloudに入ってきた情報を元に、メール配信を行うといったことがかんたんに実現できる状態になっています。

Salesforce上に会員サイトを構築し、顧客エンゲージメントを高めていくにあたっては、様々なサービスを多角的に利用することが可能です。Webサービスをスクラッチで作り上げるのは素晴らしいことですが、これらのプラットフォームを活用することで、本当に必要な開発のみにフォーカスすることが出来ました。

私達の例で言えば、いわゆる顧客情報の管理画面などはありません。SalesCloud上で確認できます。マーケティング用のメール配信は上述したようにPardotを活用します。アクセス解析はGoogleAnalyticsに加えて、Pardotのトラッキングコードを設置しているのでどこの誰がどこにアクセスしたのかをかんたんに確認することが出来ます。Salesforce上でやらなければ、本来はこれらをすべて作成する必要がありました。

このようにして、現在も会員向けサイトであるリバネスIDは利用者を増やしています。2022年にはこれらの経験を元に、情報発信サイトであるリバネスMediaをリリースしています。

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