Project Description

リバネスがSalesforceを導入したのは2013年末でした。これまで何度も色々なところで発表してきたことですが、2013年当時リバネスは業務量過多によって事業成長の頭打ちを迎えつつありました。その原因は貧弱なITインフラと適切なワークフローがなかったことに起因します。

2013年当時のリバネスの問題

今でも少なくない組織がやっていることだと思うのですが、営業管理をスプレッドシートを使って行っていました。事業は徐々に成長を始めたタイミングで、これまでのような管理のままだとそもそもデータが重すぎて入力するだけで数分かかってしまうという状態になっていました。スプレッドシートを好む人は少なくないと思うのですがそれはなぜでしょう。答えは簡単で自由度が高いからです。基本的に自由記述欄のみなので簡単に拡張が出来たりと便利な面はたしかにあるのですが、自由記述が故に情報の入力ルールが守られなかったり、誤って他人のデータを変更してしまったり、数値を書かないと数式がエラーになるのに気付かずに全角数字で入力したら集計用のシートがだめになってしまったり。スプレッドシートは脆弱なのです。

こういった問題を解決するための銀の弾丸として選ばれたのがSalesforce社が提供するSales Cloudでした。

ワークフローをSalesforce式に変えていく

一番効果があったのはこれです。それまでのリバネスの商談管理は本当にひどかったと今では思いますが、例えば上述のスプレッドシートですが情報が記述されるタイミングはいつだったと思いますか?答えは「契約が決まったタイミング」です。そのため、今仕掛中の案件が何件あるのかを把握することは出来ませんでした。誰がどこにどんな提案をしていたのかは、本人のみぞ知るところとなり、社内全体で共有するという文化がありませんでした。

Sales Cloudの導入で変わったのはワークフローです。誰かに何かを提案したら商談を立ち上げ、立ち上がった商談を元に現在提案中の金額が把握できるという状態にしました。こうすることによって売上の見通しがつくように変わっていったのです。それまでどんぶり勘定でしかなかった事業計画は、実態を伴った数字によって構成されるように徐々に変わっていきました。そのおかげで事業計画の達成率は100%前後で推移するようになり、計画的に成長していくことができる組織へと変わっていったのです。

副産物

課題はもう一点ありました。実はリバネスでは請求漏れが多発していたのです。せっかく完了した仕事があっても、請求書を送らなかったら入金はありません。そもそもの情報管理がスプレッドシートで信頼性が低いこともあり、請求漏れに気付くのは個人の記憶に頼る以外になく、非常に心もとなかったことを覚えています。これまでに実装してきたように、商談はまだ種状態のころから登録されており、その状態は常に管理され続けるようになりました。しかもそれまでのように、誰かが情報をまとめてレポーティングする必要はなく、ただ特定のURLをクリックすればいいだけで分かるように変わったのです。

請求漏れは、商談についた完了予定日(CloseDate)を使って確認がされるようになり、終わっていなければすぐに指摘できるように変わりました。おかげで請求漏れは二度と発生することはありませんでした。

(別件ですが、請求書を送ったあとに入金を確認するという流れの中にも多大な煩雑さがあり、最大2億円を超える未入金が蓄積したことがあるのですが、それについての解決方法については別途書きたいと思います)

間違いの始まり

日本企業の特性としてよく聞く話としてあげられるのが「自社用カスタムの過剰要求」です。自分の組織はこういうワークフローが組まれているからそれに合うようにカスタマイズして欲しいという話です。もちろん頑張って資金と工数を投入してカスタムすれば出来ないことはないのですが、それはなにか意味がある行為でしょうか。

業務用ツールを導入する場合、そのポテンシャルを100%以上引き出せるような使い方のほうがコストパフォーマンスが良くなるはずです。自社向けカスタマイズに固執していて業務効率向上がおざなりになってしまうと本末転倒。必要なのはツールの思想に自分の組織を寄せていくという柔軟性です。

ありたい理想像をそのツールを導入した上で描くことができるのであれば、ツール導入だけではなく組織変容を合わせて行っていく必要があります。

異文化導入によって組織を強化していく

リバネスではこのような方法で組織を強化してきました。Salesforceが顕著ですが、Slackを導入した際には情報のオープン化を大々的に進めています。これまでのように限られた人のみが情報を得られる状態ではなく、誰もが欲しいタイミングで欲しい情報を得ることができる体制を作ったのです。検索すれば情報にありつくことができるということは、情報を残しておくことで誰かの役にたつことができるというインセンティブを与えることができるのです。

このように、ツールの導入とともに組織文化をアップデートし、ワークフローを最適化しながら成長できる組織にしていくお手伝いができればと考えているのが私達リバネスナレッジのチームです。